身をもって、醍醐味を知る。
- 嘉孝 井上
- 3 日前
- 読了時間: 2分
二か月に一回は記事を更新しようと心掛けてきたものの、すっかり久しぶりの更新になってしまいました。
今年も少しずつ日差しが強くなってきましたので、風が心地よく感じられる今のうちにと、また大学院生たちと一緒にフィールドワークに行ってきました。
今回は、京都市伏見区の醍醐寺から上醍醐へと向かいます。
京都市伏見区に位置する「醍醐寺」は、平安時代(10世紀)に開かれた真言宗の寺院です。山裾に世界遺産となっている醍醐寺の伽藍や三宝院の庭園がゆったりと広がっています。そして、その裏手から一時間以上も険しい山道を登ってゆくと、醍醐山の山頂付近にいくつかのお堂が点在しています。その一帯が「上醍醐」です。
醍醐寺の参拝もさることながら、今回のフィールドワークの一番の目的は上醍醐に足を運び、そこで湧き水を飲むことです。この湧き水、醍醐水が「醍醐味」という言葉の語源になっているとのこと。醍醐味を味わうために、山を登ります。
この日の最高気温は22℃、幸いにしてこの時期にしては涼しい気候で、山の中はひんやりとしてとても気持ちよく感じられます。川の流れや鳥の声を聞きながらゆっくりと登ります。とはいえ、しっかりとした登山姿の参拝者の方もおられるくらいに、山道はなかなかに険しくて、日ごろの運動不足が身に沁みます。
そして、ようやくたどり着いた醍醐水が喉の渇きを癒してくれました。何度か繰り返し味わっていると、甘味を感じたのは気のせいでしょうか。大学院生さんたちの反応はそれぞれでしたが、有難いことには変わりありません。
水の醍醐味です。
心理療法では言葉を大切にします。上滑りするような言葉ではなく、腑に落ちる言葉を大切にします。言葉の本意をどれだけ深く味わえるか、またそこに含まれたイメージをどれだけ豊かに感じられるか、そうしたことに力を尽くします。そうした日々の心理臨床の営みと関わるのが、身をもって語源を辿る今回のフィールドワークでした。
そして山道からの帰りの駅では、エスカレーターという文明の利器がどれだけ有難いか、深く実感させられたものでした。普段、当たり前になっているものを改めて見つめ直し、有難く感じられることも、これまた醍醐味のひとつだと言えるかもしれません。

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